ひろしまアニメーションシーズン2022

GOLDEN CARPSTARゴールデン・カープスター

ゴールデンカープスター
とは?

「ゴールデン・カープスター」は、新しいアニメーション映画祭「ひろしまアニメーションシーズン」が設定する独自のアワードです。環太平洋・アジア地域を対象に、2年間(今回は2020〜2021年)のあいだに特筆すべき成果を残したと思われる個人・団体・組織を対象に、過去の経歴等も加味して選考を行い、賞を授与します。

※カープスター=本映画祭のアーティスティック・ディレクター山村浩二がデザインしたひろしまアニメーションシーズンのマスコットキャラクター。広島市民にとって馴染みの深い「鯉」と、きらめく星をあわせたキャラクターです。

選考審査

その活動(2020〜2021年がメインだが、それ以前の活動も含む)を通じて、アニメーション界に大きく貢献し、社会的なインパクトを持つと考えられる(もしくは平和な社会の実現に向けてのモデルとして考えられる)個人・団体・組織。とりわけ、革新性、国際性、多様性、パイオニア性、継続性などに重きを置いた総合評価を行う。

選考のプロセス

ひろしまアニメーションシーズン事務局が組織した様々な分野の専門家からなるリサーチチームによるリサーチ資料および事務局が依頼した環太平洋・アジア地域の推薦委員からの推薦リストなどをまとめて作られた60ページを超える推薦資料をふまえ、ひろしまアニメーションシーズンのプロデューサー(1名)、アーティスティック・ディレクター(2名)等が「ゴールデン・カープスター」選考委員会を構成。「ゴールデン・カープスター」の受賞者(国内外から複数組)を決定する。

ゴールデン・カープスター 
選考委員会

土居伸彰(ひろしま国際平和文化祭メディア芸術部門プロデューサー)
山村浩二(同祭同部門ディレクター)
宮﨑しずか(同祭同部門ディレクター)
高瀬康司(アニメーション研究・批評) ※日本のみ

リサーチチーム(日本)

高瀬康司(アニメーション研究・批評:チーム統括および長篇、シリーズ・配信、スタッフ等担当)
田中大裕(短編.jp編集長:短篇担当)
数土直志(ジャーナリスト:ビジネス担当)
きりとりめでる(美術批評:展示担当)
小出正志(東京造形大学教授:学術・ジャーナリズム・教育担当)

リサーチ協力

須川亜紀子(横浜国立大学教授/日本アニメーション学会会長)
岡本美津子(東京藝術大学副学長/大学院映像研究科教授)
大野謙介(GIFMAGAZINE代表)
大橋史(モーショングラファー/撮影監督)
小川絵美子(Head of Prix Ars Elecronica)
沓名健一(アニメーター/演出家)
庄野祐輔(映像作家100人/MASSAGE MAGAZINE)
山田亜樹(TBS/DigiCon6 ASIA フェスティバル・ディレクター)
梅原翔太(CloverWorks/アニメーションプロデューサー)
泉津井陽一(撮影監督/ヴィジュアルエフェクト)
野口光一(東映アニメーション/VFXスーパーバイザー)
宮本亮平(アニメーション展示・アーカイブ従事者)

推薦委員(海外)

【東アジア】
Yu-jin Choi(韓国インディペンデントアニメーション協会事務局長/
Indie Ani-festフェスティバル・ディレクター:韓国担当)
Yantong Zhu(フェイナキ北京アニメーションウィークアーティスティック・ディレクター:中国担当)
Chi-Sui Wang(Taichung International Animation Festival/国立台北芸術大学准教授:台湾担当)

【東南アジア】
Leong Puiyee(Objectifs Centre for Photography and Filmシニア・マネージャー:東南アジア全域担当)

【南アジア】
Sekhar Mukherjee(インド国立デザイン大学教授:インド担当)

【西アジア】
Amir Houshang Moein(アニメーション作家:イラン担当)

【オセアニア】
Malcolm Turner(メルボルン国際アニメーション映画祭ディレクター:オーストラリア担当)

【北米】
Marco de Blois(シネマテーク・ケベコワ―ズ アニメーション担当キュレータ:カナダ担当)
Alex Dudok de Wit(ジャーナリスト・翻訳家:アメリカ合衆国担当)

【中南米】
Alejandro R. González(ANIMA - Córdoba International Animation Festivalディレクター:中南米全域担当)

クリスティン・ベルソン アメリカ合衆国

クリスティン・ベルソンは、ソニー・ピクチャーズ アニメーションの長編&シリーズ部門のプレジデントとしてスタジオの戦略と成長の指揮を執るとともに、ソニー・ピクチャーズ・アニメーションのラインナップにおけるすべての劇場用、連続、短編コンテンツの開発および製作を監督する責任を担っている。
2018年、ソニー・アニメーションは、『スパイダーマン:スパイダーバース』を公開。同作はアカデミー賞®長編アニメーション賞を受賞するなど、画期的なビジュアルの映画として高い評価を受けた。翌年、同スタジオは映画監督マシュー・A・チェリーと共同で短編映画『ヘアー・ラブ』を製作。アカデミー賞®の短編アニメーション賞を受賞した。
ソニー・ピクチャーズ アニメーションの過去の作品には、食欲をそそる『くもりときどきミートボール』やモンスターコメディの『モンスター・ホテル』シリーズがある。最新作には、アカデミー賞にノミネートされたアクションコメディ『ミッチェル家とマシンの反乱』、リン=マニュエル・ミランダが新曲を描き下ろしたソニー・ピクチャーズ アニメーション初のミュージカルアニメーション『ビーボ』、人気フランチャイズ第4弾の『モンスター・ホテル 変身ビームで大パニック!』などがあります。2023年には、待望の劇場版続編『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』を公開し、Netflixの『AGENT KING』、HBO Maxの『Young Love』という2つのアニメシリーズを立ち上げる予定である。
ベルソンは、過去、ドリームワークス・アニメーションに約10年間在籍し、アカデミー賞®にノミネートされた長編アニメ『クルードさんちのはじめての冒険』を制作した後、2015年にソニー・ピクチャーズ・アニメーションに入社した。ベルソンは、アカデミー賞®にノミネートされた映画『ヒックとドラゴン』でエグゼクティブ・プロデューサーも務めている。
ドリームワークス・アニメーション以前には、ジム・ヘンソン・カンパニー、コロンビア・ピクチャーズ、ターナー・ピクチャーズ、20世紀フォックスで15年以上にわたり実写およびアニメーション映画の開発・制作に携わっている。

受賞理由

・『スパイダーマン:スパイダーバース』『ミッチェル家とマシンの反乱』の二作は、大胆な造形表現、絵画的なテクスチャ―、実験的なタッチにより、ハリウッドのアニメーションがすべて同じような見た目である必要がないことを世間に思い知らせることになった。ベルソン氏は、コロナ禍の影響で視聴者の意識がより広いアニメーション表現を受け入れるようになったことから、近いうちに大人向けアニメーションがもっと増えるだろうと考えているが、もしそういった傾向が訪れた場合、ハリウッド・アニメーションの幅を著しく広げたソニー・ピクチャーズ・アニメーションがその流れを先導するようになることが予想される。

・ハリウッドのアニメーションは、規模的にも影響力的にも世界ナンバーワンの位置を占め続けている。そのような業界のなかで、現在、様々な新しい動きが出てきているが、ソニー・ピクチャーズ・アニメーションの実践は、アニメーションのあり方がもっと多様なのものであっていいことを示すことで、数多くのクリエイターに指針を示している。

・『スパイダーマン:スパイダーバース』『ミッチェル家とマシンの反乱』は、ビジュアルの革新が可能にする豊かなストーリーテリングをもった作品制作を可能になるという例である。大衆性も兼ね備えたその作品は、世界中の子供たちの感受性を高めることに貢献する。

・映画業界における数少ない女性経営者として、後進のモデルとなる。

サイエンスSARU 日本

湯浅政明、チェ・ウニョンにより2013年に設立されたアニメーション制作会社。
新しい手法・技術の導入、若手スタッフの育成に常に取り組み、TV・劇場・配信と多岐にわたり精力的に作品を発表。
代表作にアヌシー国際アニメーション映画祭長編部門グランプリ・クリスタル賞など数々の海外の映画賞を総なめにした『夜明け告げるルーのうた』を始め、『夜は短し歩けよ乙女』(2017)、『DEVILMAN crybaby』(2018)、『映像研には手を出すな!』(2020)などがある。2021年に『平家物語』が先行配信、翌22年にTV放映され好評を博した。2022年には『犬王』の劇場公開を皮切りに『四畳半タイムマシンブルース』が9月に劇場公開、アニメシリーズ「ユーレイデコ」が7月放映開始。

受賞理由

・2020年〜21年にかけて、湯浅政明と山田尚子という日本を代表するアニメーション監督が手掛ける『映像研には手を出すな!』(湯浅監督/シリーズ/2020年発表)『日本沈没2020』(湯浅監督/シリーズ/2020年発表)『犬王』(湯浅監督/劇場用長編/2021年ワールドプレミア)『平家物語』(山田監督/シリーズ/2021年先行配信)の制作を手掛け、どの作品も世界的に高い評価を受け、話題になった。スタジオ設立以来、日本アニメの新しい可能性を更新・提示しつづけている。

・韓国出身のチェ・ウニョン プロデューサーが代表を務めるサイエンスSARUは、ヨーロッパからのスタッフなども抱える、日本のアニメ界において非常にユニークな「多国籍な」制作スタジオである。また、日本では一般的ではないAdobe Flash(現:Animate)を活用した制作システムの構築によって、独自の映像表現を追求するとともに、労働環境の改善にも取り組んでいる。

・『平家物語』『犬王』の両作は、平家物語(およびその関連作品)を原作としつつ、「歴史もの」のアニメーションを新たなかたちで提示した。そのアプローチは、大きな歴史が見えなくしているものへの着目を促し、観客の視野を広げるものとなっている。

謝文明(ジョー・シェー) 台湾

台湾のインディペンデント・アニメーション監督。人間の本性の暗部を探求し、ホラーとサスペンスに満ちた作品を手掛ける。彼の作品は多くの国際映画祭で注目を集める。『Meat Days』(2006年)は釜山国際アニメーション映画祭と広島国際アニメーション映画祭にノミネートされた。『The Present』(2014年)はサンダンス映画祭にノミネートされ、サンディエゴ・アジア映画祭で最優秀短編アニメーション賞を受賞した。制作に協力した『No.7 Cherry Lane』(2019年)はヴェネチア国際映画祭で最優秀脚本賞を受賞。『Night Bus』(2020)はサンダンス映画祭で最優秀短編アニメーション賞、ザグレブ国際アニメーション映画祭で短編グランプリ、オタワ国際アニメーション映画祭で観客賞を受賞し、アニー賞の短編部門にノミネートされた。

受賞理由

・ジョー・シェー氏は、「ホラー」というジャンルで継続的に作品制作・発表を行ってきた作家である。2020年に発表された『Night Bus』は、作家のひとつの到達点を見せるような作品で、世界中の映画祭できわめて高い評価を獲得した。

・ジョー・シェー氏の作品は、エンタテインメントの一部としてのホラーであるにとどまらず、人間に隠されたダークな欲望や、そういった感情を生み出す社会の構造についても、深い考察を提供する。アニメーションにおいて、ホラーの表現を継続的に制作しつづけている作家は少なく、ジャンルとしても盛んであるとはいえないなか、ジョー・シェー氏の活動は、アニメーション表現の可能性を広げるものであるとも言える。

・近年、盛り上がりを見せつつある台湾のアニメーション・シーンを代表する存在。とりわけ、ホラーというアニメーションにとってはユニークなジャンルで高品質な作品を継続的に発表していることが、後進のアニメーション作家にとってのモデルとなりうる。

・ホラーという表現はB級で低俗なものとして見られがちだが、ジョー・シェー監督作品におけるホラーは、人間だれもが持ち合わせているダークな感情に目を向けさせ、さらにはそういった感情を生み出す社会システム、人間自身の普遍的な性質についての優れた批評となっている。

・ホラーとアニメーションの相性の良さを発見することで、後進の世界のアニメーション作家たちにとって、新しい活躍の場を提供している。

Documentary and Experimental Film Center (DEFC) イラン

ドキュメンタリー&エクスペリメンタル・フィルム・センター(DEFC)は、中東におけるドキュメンタリー、アニメーション、実験映画の制作、配給、プロモーションの中心的な役割を担っている。イランにおいて、アニメーションの歴史を記録するドキュメンタリーも制作している。30年以上にわたり、中東で最も注目される制作会社の一つとして、ドキュメンタリー、アニメーション、実験映画、長編映画を制作するイランのパイオニア的存在である。
DEFCは、「シネマ・ヴェリテ」と「シネマ・アニメーション」という2つの季刊誌の発行、毎週の上映会の開催、ドキュメンタリー映画やアニメーションに関するワークショップの開催など、その他の活動も行っている。また、イランのフィクション、ドキュメンタリー、アニメーション、実験映画、長編映画に関心を持つ映画祭、フィルムマーケット、テレビチャンネル、劇場、大学、研究機関、その他の団体に作品を提供している。DEFCの作品はすべてVimeoで視聴可能で、多くの国際映画祭やマーケットで選出されている。また、ドキュメンタリーやアニメーション映画の共同制作にも関心を持っている。テヘランで、”Cinema Vérité” イラン国際ドキュメンタリー映画祭を開催している。この映画祭は、ドキュメンタリー映画を通して、現実と真実の関係を表現しようとするものである。
ウェブサイトはこちら。
www.defc.ir
www.irandocfest.ir

受賞理由

・映画大国として知られるイランにおいて、アート系映画、アニメーション、ドキュメンタリー、実験映画の製作に継続的に携わることにより、同国の映画界の状況の多様化に貢献。アニメーションの世界においても、イランが一定の地位を確保しつづけているのは、本センターがあるゆえである

・同センターの製作作品『The Fouth Wall』(2021年/短編アニメーション)は、文化庁メディア芸術祭アニメーション部門グランプリをはじめとして、世界中の数多くの映画祭で受賞。イランの新しい才能を発掘し、世界へとつなげたことが特筆すべき成果となる。監督のマフブーベフ・カレイは、ひろしまアニメーションシーズン2022内企画の「ひろしまアーティスト・イン・レジデンス H-AIR」の招聘者としても選ばれている。

・メインストリームではない領域の映像作品について長年にわたり製作のサポートを行うことにより、当地の作家たちの制作活動の可能性を広げた。30年以上の長きにわたり継続的に活動を行っているそのあり方は、イランのみならず国際的にもきわめて有益なモデルを提供している。

・映画製作のみならず、映画祭の開催や出版物の制作を行うことで、当地の映画文化を継承し、未来へとつなげていっている。

・同センターの製作作品『The Fourth Wall』は、イランのみならず世界的に見てもここ数年を代表する作品となっている。家具を含め部屋をまるごと動かすという手法によって家族の物語を語るというその手法は、アニメーションが描きうる物語の幅を広げている。

Feinaki Beijing Animation Week 中国

アニメーション作家の目線で企画されたイベントであり、観客と共に個々のなかに庭を作ろうと願う、詩とインスピレーションを探求する上映の旅。Feinaki Beijing Animation Weekは、世界各地のアニメーション映画祭を頻繁に行き来することで国際的なつながりを持っている中国のアニメーション作家、研究者、キュレーターがキュレーションするアニメーションのイベントである。2019年に設立され、2021年には第3回が開催された。"Feinaki "はフェナキスティスコープ(Phenakistoscope)の中国語名 "费那奇镜(Feinaqi Jing)"の音訳スペルを用いており、中国のアニメーション愛好家の文化適応から生まれた名前である。
我々は、アニメーション作家を刺激して励まし、その作品を継続的に紹介する機会を作ることで国際的に受け入れられるようにし、アニメーション作家のための国内エコシステムがより繁栄するよう、努力を続けている。質の高い上映イベントと、プロフェッショナルかつフレンドリーなコミュニケーション環境を提供することで、若いアーティストに機会を与えたい。さらに、世界の最もホットで最新のアニメーション作品を中国に招き、アニメーションの発展の最前線にある新たな名作を毎年中国の観客に紹介することで、アニメーションを愛する絆のもので、世界と中国がが結ばれることを目標としている。

受賞理由

・現在、中国のアニメーション産業は、主に国内のマーケットに向けたものが大きな盛り上がりを見せ、少しずつ世界的にも認知されている。その一方で、個人ベースで制作を行う中国人作家たちの存在も日に日に存在感を増している。(日本を含む)海外へと留学をして、そのまま当地にて活躍するアーティストも多い。2019年にスタートしたアニメーション・イベントFeinakiは、中国におけるアニメーションの状況の国際的な盛り上がりを促進するものである。中国国内にて様々なアニメーションを見せる機会を提供し、中国作家の作品の発表場所としても機能。優れた作品のショーケース的な紹介によって海外のアニメーション映画祭シーンへのプロモーションにもなっている。
また、子供向けの長編アニメーション映画『明るいほうへ』の制作にも関わることで、多彩なスタイルをもったアニメーション作家たちに商業的な露出の機会も提供している。

・中国で海外の作品を上映する可能性を高めると同時に、中国人作家の作品を可能な限り国際的に広げ、違う文化の人々にも見てもらえるにすることで、国際的な交流を促進している。

・北京でのイベントの開催のみならず、中国のさまざまな場所で積極的な上映ツアー活動を行い、人々が多彩なアニメーションに触れる機会を提供している。

・その国際的なネットワークを通じて、若い作家にとって、国内のみならず海外でのキャリア構築もありうるということを示し、選択肢の幅を広げている。

水尻自子 日本

映像作家。1984年青森県生まれ。体の一部や身近な物体をモチーフにした感触的なアニメーションを制作する。2022年「インター+プレイ」展第3期(十和田市現代美術館)の出展作品として「不安な体」を発表。

受賞理由

・2020年〜21年にかけて、2本の監督作品が国際的に高い評価を獲得した。VRアニメーション『オタワムレ』は2021年のザグレブ国際アニメーション映画祭にてBest VR Filmを受賞、短編アニメーション『不安な体』はオタワ国際アニメーション映画祭最優秀ノンナラティブ作品ほか全世界で10以上の賞を受賞し、選出も多数されている。対象期間中の短編分野における圧倒的な評価により、日本のアニメーションの振興に貢献した。

・ハードウェアとソフトウェアの発達によりここ日本でも個人ベースでアニメーションを制作する作家が増えるなか、継続的に制作を続けることができる者は少ない。そのような状況のなか、水尻氏の名が国際的に知られることになった『布団』(2012年)『かまくら』(2014年)『幕』(2015年)の三部作を経て、自身の集大成かつ新機軸として『不安な体』を発表し、これまでで一番の成功を収めたことは、日本の個人作家のキャリア構築のためのひとつの理想的な活動形態を示したといえる。

・「日常的な身体とその感覚の回復」に着目したユニークな作品は、人間にとって重要な側面である「(身体的・精神的な)健康の維持」へとつながっていくメッセージ性を持っている