ひろしまアニメーションシーズン2022

JOURNAL ジャーナル

2022.08.17 AIR活動報告 公式レポート

【是恒さくら:マンスリーレポート】2022.7

7月に入り、新たに完成したミナガルテン裏手のアーティスト・イン・レジデンスの専用スペースに引っ越しました。
新しい空間で新たな創作の日々を記念して、7月5日(火)は、ミナガルテンで毎月5日、15日、25日に開催されているマルシェに合わせてオープン・スタジオをひらきました。入れ替わり立ち替わり、約20名ほどの方々が訪れてくれ、これまで作ってきた刺繍作品や小冊子、制作中の作品の素材など手に取りながら紹介しました。
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7月9日には街かどアニメーション教室 with minagarten「みんなでつくる川のまち」第1回目・「みんなの川」がテーマとなった回を開催しました。
広島市佐伯区を流れる八幡川。かつては度々水害を起こしていたけれど、この土地の人々が川の流れを変えて暮らしやすい土地を作ってきた歴史があります。
産業や舟運にも深く関わってきた川であり、散歩していると、川に入って遊ぶ人たちの姿も日常的に見かけます。
毎年夏には川の中を走る「リバーマラソン」が開催され、河口にはさまざまな水鳥が飛来する砂地も整備されていて、親しまれ大切にされていることがわかります。

八幡川にはさまざまな水鳥やカニ、魚たちが住んでいます。
川をきれいに保ち、生き物にとって住みやすい環境として守るには、ゴミ拾いなども欠かせません。
今回のアニメーション教室では、川を掃除して生き物がたくさん生まれてくるまでの様子をアニメーションにしました。
まずは、八幡川の生き物の紹介。カワウやサギなど水鳥、カニ、亀に、誰かが放流したらしき鯉や金魚、そしてヌートリアもいます。
上流にはオオサンショウウオ、昔は河口にイルカの群れが来たこともあったとか。

川をイメージした青い背景の上に、プラスチック容器やハンガーなど、川で時折見かけるゴミのようなものが並べます。それらを拾い上げ、川の生き物たちに作り替えます。カラフルなモール、色紙、フェルトなどを使って、亀、カニ、魚、鳥、イルカ、草花が生まれました。プラスチック容器やハンガーが生き物に変わるまでの途中経過もコマ撮りでアニメーションにして、都度みんなで観ていたので、「次は、こんなふうに動かしたい!」「親子の亀やカニにしたい!」と作りながらみんなの物語が広がっていきました。初めてのコマ撮りアニメーション作りでしたが、半日で子どもたちがすっかり動かし方や撮影の仕方を覚えてくれたことと、完成したアニメーションを見て「生きとる!」の声があがったことは感動でした。

7月24、25日の2日間は、H-AIR「街かどアニメーション教室」with minagarten の第2回目・3回目を開催しました。「みんなでつくる海と島」をテーマとした24日は、特別講師に「庭能花園」代表の着能松太郎さんを招き苔玉作りからスタート。
赤玉土、ピートモス、ケト土など、違う特徴のある数種類の土と肥料を捏ね、混ぜ合わせた土で小さな松の木を包み、苔で覆います。ころりと丸い苔玉に松が生えた様子は瀬戸内海でよく見かける無人島のよう。
乾燥や潮風にも強く、防風林として海辺の風景に馴染みのある松。無人島にもよく生えています。
出来上がった松の苔玉を牡蠣の殻や牡蠣養殖に使われた帆立貝に乗せてみると、岩場が露わになった干潮時の島を思わせる姿に。苔玉にカラフルなモールや粘土で飾り付けて、自分だけの「島」を作っていきました。
みんなの島が集まると、大きな陸地になっていくようにも見えてきます。
島を動かし、波を動かして、瀬戸内海をイメージしたアニメーションができました。

25日のテーマは「みんなでつくる川のまち」。複数の川が流れる広島市では、川の流路を変更したり、護岸工事を行って川のまわりに暮らしやすい街を作ってきた歴史があります。
川を動かすアニメーションを作った後は、思い思いの建物を作り、設置した後は橋をかけたり、道を描いたり。
とてもにぎやかな街が川の周りに完成しました。

minagartenでの3回のアニメーション教室では、コマ撮りの手法で毎回約300~500枚の写真を撮り、繋げてアニメーションの動画にしました。
アニメーション教室では、途中途中で撮りためた写真を繋げていきながら、アニメーションを作る過程も参加者のみなさんと一緒に体験できました。
そうする中で、一人一人の中に「作りたい物語」が生まれていったようです。
3回分のアニメーションを見返しているとその時間に感じたワクワクした気持ちも蘇ってきます。
後日、参加者の皆さんと各回のアニメーションを視聴する機会を設けたいと思います。
また、3回分の成果を15秒にまとめた短縮版は、「ひろしまアニメーションシーズン2022」の期間中のうちの日程のオープニングムービーとして上映されます。
楽しい時間を思い出しながら、川から海への風景に思いを馳せながら、編集作業を進めています。