【イソナガアキコの公式レポート】ひろしまアニメーションシーズン2022 デイリーレポート③ 2022.8.19
こんにちは。ひろしまアニメーションシーズン2022公式ライターのイソナガアキコです。
2022年8月19日(金)、ひろしまアニメーションシーズンの3日目のレポートです!
昨日に続き今日も気になる特集上映やトークイベントが目白押しで、どれを観ようかと本当に悩ましい毎日です。
来場者のトークに沸いた市民ギャラリー
1階の市民ギャラリーでは昨日に続き、午前中からアワードの受賞者やコンペティション入選者、ゲスト作家らのトークが繰り広げられました。
ゴールデン・カープスター受賞の「ドキュメンタリー&エクスペリメンタル・フィルム・センター」(イラン)のトークに続いて行われたのは、ワールドコンペティション「寓話の現在」カテゴリの入選者トーク。審査員賞(アーサー・ビナード賞)を受賞した『とあるイギリス人アリ食い男の告白』が、彼にとって初のアニメーション制作であったことに驚きました。
普段は週4日ほど雑誌の記者の仕事をし、残りの3日を使ってバンド活動や映画制作に取り組んできたそうですが、今後は記者の仕事を減らしてアニメーション制作に本格的に取り組みたいと抱負を語りました。
若者の関心を多く集めたクィア特集
2階の中ホールでは、コンペティションの選考委員や審査員も務めた矢野ほなみさんがキュレーションした「ジェンダー・アイデンティティとセクシュアリティ」と「女性たちのアニマ」の特集上映が開催。客層は他の上映に比べて比較的若い人が多い印象がありました。
全26作品すべての上映が終わった後は、1階の市民ギャラリーに場所を移してトークショーが催されました。ゲストは東京大学教授でフェミニズム/クィア理論を専門とする清水晶子さんと、映画執筆家の児玉美月さんをゲストに迎え、クィア特集で上映された作品についての考察や、LGBTQIA+やジェンダーを取り巻く社会や映画界の変遷などについてのトークが繰り広げられました。
印象的だったのは、アニメーションだからこそ可能な表現についての話。例えば欲望だったり、感覚だったり、変容していくような曖昧な部分を表現するのにアニメーションはとても適しているのではないかという話。
そしてもう一つは、ヌードや性的描写が多用されがちな問題について。人間の役者に依存しない分、アニメーションでは安易にそれらを描きすぎているのではという指摘もありました。
作品性という観点、また倫理的な問題など何を基準とするかによるところもあり、様々な意見を出し合いながら着地点を見出していくしかないというところに、この問題の難しさも感じました。
田中泯さん、犬童一心監督来場!
大ホールでは、田中泯さんのドキュメンタリー『名付けようのない踊り』が上映されました。
作品のところどころに、山村浩二さんのアニメーションが挿入されており、上映終了後は田中泯さん、山村浩二さん、犬童一心監督の3人によるトークショーもありました。
田中泯さんと山村浩二さんのトークショーは20日12時45分からも開催されますので、こちらもどうぞお聞き逃しなく!
地域と連携 ②広島市映像文化ライブラリー
今日は、映画祭の連携会場「広島市映像文化ライブラリー」も訪問しました。
広島中央公園の一画にあり、広島市中央図書館と並んで建っています。日本の名作映画のフィルムや名盤レコードなど数多く収集・保存する、日本でも数少ない貴重な映像専門施設です。
期間中は、川本喜八郎監督の名作人形アニメーション『死者の書』や、誰もが知る『風の谷のナウシカ』など、名だたるアニメーション作品が上映されています。
主幹の市谷さんにお話を伺うと、普段の常連さんとは違うお客さんが訪れており、特に川本喜八郎監督の作品は人気が高いそう。客席数169席と広々としているので、ぜひこちらにも足をお運びくださいね。
さあ、明日はいよいよ4日目。ゴールデン・カープスターを受賞したサイエンスSARUのプログラムとして、『犬王』の上映など充実のプログラムが揃っています。週末ということでかなりの数の来場者が見込まれています。どうぞ余裕を持って道中気をつけてお越しくださいね。
取材・文・写真