ひろしまアニメーションシーズン2022

PROGRAMプログラム

特集上映

【特集:水】 特集上映「相原信洋&山村浩二の水」
SCREENING

スケジュール

8.18 Thu. 16:30 @中ホール

プログラム概要

ひろしまアニメーションシーズン2022の特集テーマである「水」。日本を代表する2名の「水」の作家に焦点を当てた特集上映プログラム。

上映作品一覧

『山かがし』
相原信洋
日本

厚木基地の米兵と街の娼婦を、子供の視点から見つめたアニメーション。この時期の相原作品には、作家が幼少期に見てきた社会についてのドキュメンタリー的要素も含まれている。

『短距離ランナー』
相原信洋
日本

ランナーを弄び、針で突き刺そうとする巨大な手についてのアニメーション。 協力:相原栄・新宿ムービー

『赤いギアマン』
相原信洋
日本

葛飾北斎の浮世絵を引用しながら、多重露光とアニメーション技法を駆使して展開した作品。プリントは退色が進んでいたが、今回はネガから直接デジタル化を行うことで、本来の鮮明な赤色を復元した。 題字:相原栄、録音:吉田一明、編集:新宿ムービー

『雲の糸』
相原信洋
日本

抽象的な形態が変化してゆくアニメーションであり、『妄動』の延長線上にあると言える作品。フィルム缶票に記されていた指示に基づいて、タイミングで青色の色調調整を行ったバージョンを上映する。

『風触』
相原信洋
日本

石像や炎を撮影した静謐なショットに続いて、海中に浸された画用紙のなかでアニメーションが展開する。 協力:横須賀玲子・寺下哲平・阿近修一・佐藤由美・守田法子・伊藤郁子・鈴木雅美・鎌倉和久・大川比呂之

『RAIN―MEMORY OF CLOUD. 1』
相原信洋
日本

不定形なインクの滲みから開始され、混沌の度合いを増しながら展開するサイケデリック・アニメーション。

『水輪カルマ2』
相原信洋
日本

抽象的な形態が展開する、描画によるアニメーション。作中の楽曲は喜多郎による「朝の祈り」。 音楽:喜多郎、現像:東洋現像所、撮影:みしな製作室、特効:山崎雅典

相原信洋

1944年、神奈川県生まれ。デザイン学校で学んだのちデザイン事務所に短期間勤めるが、1965年頃にスタジオゼロに入社し、商業作品のアニメーターとして勤務する。一方、入社と同じ時期に『あめ』(1965)を実質的な第一作として、個人によるアニメーション制作を開始する。1974年にスタジオゼロを退社してヨーロッパに滞在したのち帰国、1975年にオープロダクションに入社する。1986年からは京都芸術短期大学映像専攻映像コースに講師として着任し、後進の指導にあたる(後に京都造形芸術大学に異動する)。また大学以外でも、1980年に設立した「地球クラブ」を始めとして、各地でアニメーション・ワークショップを開催し、個人アニメーションの普及に尽力した。第5回広島国際アニメーションフェスティバルHIROSHIMA '94 では国際選考委員を務めた。代表作に『やまかがし』(1972)、『逢仙花』(1973)、『STONE』(1975)、『カルマ』(1977)、『アンダー・ザ・サン』(1979)、『逢魔が時』(1985)、『映像(かげ)』(1987)、『WIND』(2000)、『LOTUS』(2007)、田名網敬一との共作に『風の呼吸(アニメーションによる往復書簡)』(2001)など。2011年、インドネシアのバリ島を旅行中に逝去。

『頭山』
山村浩二
日本

ケチな男が拾って来たサクランボの種を食べたために、頭に桜が生えて、そこに花見客が訪れる。花見客が騒がしくて桜の木を抜くと今度はその穴に水がたまって、海水浴客が集まってくる。落語「あたま山」を現代、東京に舞台を移し、アニメーションで新解釈を試みた作品。

『年をとった鰐』
山村浩二
日本

『無花果』
山村浩二
日本

©️2017 YAMAMURA/VERHELST/TOUGERON
『水の夢』
山村浩二
日本

レジオンドヌール勲章シュヴァリ受勲者であるフランスのピアニスト、キャサリン・ヴェルヘイストと舞台デザイナーのエルヴェ・トゥゲロンからの依頼で、舞台用に制作した作品。  ピュリッツァー賞、グラミー賞現代音楽最優秀作品賞を受賞しているアメリカの現代作曲家ジョージ・クラムの『エレキフルート、エレキチェロ、アンプリファイド・ピアノのための「鯨の声」』(Vox Balaenae)という曲へのオマージュで、海中での生命誕生から鯨までの進化を音楽と映像で描写する。原生代、古生代、中生代、新生代の4部からなる。

© Yamamura Animation
『ゆめみのえ』
山村浩二
日本

ケイサイは人や動物を生き生きと、とても見事に描く絵師だった。ある日鯉を描いていると、眠ってしまう。夢の中で鯉になったケイサイは、楽しく泳いでいたのだが、釣り人に釣られてお城に運ばれてしまう….。上田秋成「雨月物語・夢応の鯉魚」に想を得て、 同時期の絵師、鍬形蕙斎を主人公にして、蕙斎の「略画式」を元にアニメーション化した作品。

山村浩二

1964年生まれ。1987年東京造形大学卒業。90年代「パクシ」「バベルの本」など子供向けアニメーションを制作。「頭山」(2002年) が第75回アカデミー賞にノミネート、アヌシー、ザグレプ他6つのグランプリを受賞、「今世紀100年の100作品」の1本に選出される。「カフカ 田舎医者」 (2007年) がオタワ他7つのグランプリを受賞、世界4大アニメーション映画祭すべてでグランプリを受賞した唯一の監督、アニメーション作品の受賞は160を超える。2021年、過去25年間の優れた世界の短編監督25人のトップ2に選出。2021年初の長編「幾多の北」がアヌシーで、コントルシャン・クリスタル賞受賞。 絵本「おやおや、おやさい」(文:石津ちひろ)は累計40万部を超えるロングセラー、他に「ちいさな おおきな き」(文:夢枕 獏、第65回小学館児童出版文化賞受賞)、「ぱれーど」(文・絵)など、絵本画家としても活躍。NHK「おかあさんといっしょ」のエンディング曲「べるがなる」の作詞。 川喜多賞、芸術選奨文部科学大臣賞受賞、紫綬褒章受章。 映画芸術科学アカデミー(米)会員、日本アニメーション協会副会長、ASIFA日本支部理事、ひろしま国際平和文化祭メディア部門ディレクター。ヤマムラアニメーション有限会社代表取締役、中国美術学院客員教授、東京造形大学客員教授、愛知県立芸術大学客員教授、東京藝術大学教授。